生産管理システムとは?導入のメリットや選ぶべきポイントをご紹介
今回は、製造業が生産管理システムを導入するメリットについて、解説いたします。
1.生産管理システムとは?
生産管理システムとは、製造現場における様々な業務を一括で管理するためのシステムです。
今や製造業において、生産管理システムは、生産性を高めるうえで欠かせない存在になっています。
例えば、部門ごとの進捗は管理できていても、部門間で連携して生産活動全体の進捗を管理することが難しいと感じることはありませんか。そのために、正確な納期が分からない、人員の配置が上手くできないといった課題を抱えておられるのではないでしょうか。また、全体の進捗が管理できていないと、余剰在庫を抱えたり、原材料の不足を招いたりすることもあるでしょう。
そんな状況を打破するのが、原材料の仕入れや製造、出荷の状況を管理できる生産管理システムです。工数の可視化や、製造・出荷量の分析・予測などができるので、効率化や改善点の発見に有効で、これを活用することが、生産性の向上に繋がります。
2. 生産管理システムでできること
生産管理システムは、原材料の仕入れから製造、出荷するまでの工程を一元管理します。管理の業務は「製造&出荷計画の立案」「作業の管理」「結果分析」の3つの段階に分けることができ、それぞれ、「購買」「製造」「出荷」の3つのポイントに着目して行います。
2.1. 製造&出荷計画の立案
「納期を守って顧客に製品を納品するため」あるいは「市場での品切れを防ぐため」に、十分な量の製品を生産するべく、生産量と期間、生産に必要な調達、調整などの計画を決定する業務です。
- 購買計画
「原材料の選定および見積もり」「仕入れ先の選定および価格交渉」「安全在庫の量の決定」が挙げられます。 - 製造計画
「作業員を割り当てる等の工程計画」「製品の生産能力の把握」「販売先や製品による優先順位の決定」が挙げられます。 - 出荷計画
「輸送業者の選定」「出荷日の計画」が挙げられます。
2.2. 作業の管理
購買・製造・出荷の各部門の作業が計画通りに進んでいるかを管理します。計画通りに進展していない場合は、適切に対処して改善を試みます。
- 購買管理
「原材料の納期管理」「原材料の品質管理」「原材料の在庫管理」を行います。 - 生産管理
「作業工程の進捗管理」「製品の品質管理」「製品の在庫管理」を行います。 - 出荷管理
「出荷フローの管理」「倉庫管理」を行います
2.3. 結果分析
購買・製造・出荷、それぞれの活動を計画通りに進行できたかどうか、結果を検証します。問題がある場合は、原因を探り出して改善策を考え、生産活動を改良していきます。
主に次のポイントの検証を行います。
- 購買の結果分析
「仕入れ先の納期や価格設定は適切だったか」「調達を予算通りに行えたか」を分析します。 - 生産の結果分析
「生産を計画通りに行えたか」「不良品の発生率はどのくらいか」「製品を生産できたか」「作業員のパフォーマンスはどうだったか」を分析します。 - 出荷の結果分析
「在庫は常に適正量か」「生産は納期通りに行えたか」を分析します。
3. 生産管理システムを導入するメリット
生産管理システムを使って上記の3つの業務を行うことで、どのようなメリットがあるのでしょうか。
3.1. 余剰在庫&生産コストを削減できる
原材料の仕入れから製品の製造、出荷に至る一連の流れを、1つのシステムで管理できるため、どんな在庫をどれだけ保有しているのかをすぐに確認できます。倉庫内の余剰在庫は抱えているだけでコストが生じるため、会社にとっては悩ましい存在です。生産管理システムの導入により、需要と供給に加え、生産能力のバランスが一目瞭然となるので、在庫をどの程度確保すれば良いかの判断が容易になります。必要な在庫を確保しつつ、余剰在庫を防ぐことが可能なので、管理や生産にかかるコストを最小限に抑えることができます。また、品切れ防止にも有益です。
3.2. 在庫&資金繰りが安定する
生産管理システムで余剰在庫を削減して品切れを防止しつつ、現金を確保することで、経営が安定します。過不足のない人員配置を行うことができるため、無駄な人件費を削減することも可能です。製造業では、生産性を向上させるために設備投資を行う必要がありますが、在庫や人件費に無駄があるままでは、なかなか投資はできません。生産性を向上させ、売上を増大させるために、生産管理システムの導入は効果的でしょう。
3.3. 作業から結果までを一元管理できる
生産管理システムを導入することで、各業務を一元管理できるので、生産に関する全ての情報を即座に把握することができます。「作業工数」「製造状況」「販売状況」などをいつでも経営層に伝えられ、こうした情報を元に、組織の土台を強くすることも期待できます。さらに、お客様に対しても、受注した製品の生産進捗を正確に伝えることができるため、信頼を得やすいという点もメリットです。
3.4. リードタイムの短縮化を図れる
リードタイムとは、受注から納品までの期間のことです。これを短縮することで、生産力の向上が見込まれるのみならず、顧客の満足度も高まります。生産管理システムを導入することで、滞留在庫、生産性、業務効率の分析が可能となるため、不良品発生の原因解明や改善が容易になり、リードタイムの短縮にもつながります。
4. どんな生産管理システムを選ぶべき?
では、こうしたメリットを踏まえ、生産管理システムを導入しようと考えたとき、どのような製品を選ぶべきなのでしょうか。生産管理システムを選ぶうえで、気を付けたい点を考えてみましょう。
4.1. 自社の目的に合っているか
生産管理とは、製造業における業務の一連の流れを管理し、必要に応じて改善を行うことです。生産活動全体が管理の対象になるので、場合によっては組織の多くの部分を改善しなければならず、社内スタッフのみならず、取引先にも影響を及ぼすこともあります。そのため、生産管理システムで何を実現したいのかを明確にしないまま導入を行うと、かえって現場が混乱することになりかねません。
したがって、まずは「何のために生産管理システムを導入するのか」の目的を明確にして、自社で達成したい目的にシステムが合致しているかを、しっかりと考える必要があります。
4.2. 費用対効果は高いか
生産管理システムを選定するうえで、初期費用とランニングコストは非常に重要です。生産管理システムには、自社の管理サーバにシステムを入れる「オンプレミス型」と、システム提供会社がサーバを管理する「クラウド型」があります。オンプレミス型は、初期費用が高くなりがちですが、自社の固有資産としてシステムを保持できる点がメリットとして挙げられます。一方のクラウド型は、自社でサーバを管理する必要がないため、社内のシステム担当者の負担を軽減できます。また、初期費用が安く費用対効果が出しやすい点がメリットです。自社にとってより高い費用対効果が見込める製品を選定しましょう。
4.3. 分析機能が充実しているか
生産管理は、ただ計画と実績を管理するだけでは不十分です。計画と実績を踏まえて分析を行い、課題を改善に導くまでが一連の流れになります。分析をスピーディーに行うことができれば、新たな外注、設備投資または設備の遊休、作業員の補充、コスト削減などの必要性を見極め、即座に生産計画に反映させることが可能です。分析機能の充実度は、生産管理システムを選定する上で重要なポイントです。
4.4. 他システムとの連携機能があるか
生産管理システムを単品で利用するだけではなく、例えば会計システム等と連携すれば、生産だけでなく、経営層も含めた会社全体のさまざまな活動を一元管理することも可能です。システムが集めた情報を経営に活かしたいと考えている企業は、他システムとの連携機能があるかという視点を持って、生産管理システムを選ぶ必要があります。
5. シナプスイノベーションの生産管理システム・UM SaaS Cloud
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