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原価計算のコツを掴むためには

更新日:2024年12月 2日
原価計算のコツを掴むためには

製造業に携わる方の中には、原価管理や原価計算に実は苦手意識があるという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
原価計算を習得するためには、いくつかのハードルがあります。
今回はどうやってそのハードルを越えたらいいかを考えてみます。

原価管理や原価計算を勉強する男性

第1のハードル:簿記の掟を網羅する必要がある

多くの方は原価計算を習得するために、まず簿記の基礎から学びはじめます。ここが最初のハードルです。

例えば、会計の基本である"費用"と"収益"の書き方、"資産"と"負債"の書き方。なぜ、費用を左、収益を右に書くのか。なぜ資産が左で、負債が右なのか。プラスになる収益を右に書くのに、どうして負債や借入といったマイナス事項も同じ右側に書くのか......。

その理屈を考えると、疑問がたくさん浮かんできます。こうしたことはルールとして覚えるしかないのですが、このルールがどうしても腑に落ちないという方もいるでしょう。しかし、まずはこのルールを覚えることが先決です。そのうちに、資産や負債といった言葉の意味を理解できれば、単純にプラスだから、マイナスだからと判断しているのではないのだとわかり、そのルールを改めて理解することができるでしょう。

第2のハードル:理論から現場がイメージできない

次のハードルが、原価計算の基礎となる"工業簿記"です。工業簿記では、勘定連絡図というものを使って原価を計算します。現場を見たことがない方は、この図を見ても実際の製造のイメージがわきにくいかもしれません。そして、毎日工場で働いている方の中にも、原価計算となると「?」となってしまう方がいらっしゃいます。

おそらくその原因は、工場の中で扱う数字のほとんどが、金額ではなく"数量や時間"だからだと思います。この工程で何がいくつできたとか、どれくらい時間がかかったとかいったことは把握していても、それを金額に換算することはなかなか難しいです。

工業簿記を習得して、原価計算について学ぶ際も、勉強した理論と実際の工場の中で行われている生産活動が、イメージとしてつながらない事態が発生するようです。もしかしたら「イメージできない」というのが、原価計算に苦手意識を持ってしまう最大の理由なのかもしれません。

身近なモノはどうやって作られるのか想像してみる

しかし、原価計算をひとつひとつ紐解いて、ほぐしてゆくと、特別に難しいことではないことがわかってきます。基本的には「単価×数量で、ひとつひとつの原価を出す」「出した原価と出した原価とを足し算する」だけなのです。

例えば、ペットボトルの水で考えてみましょう。

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私たちが買うペットボトルの水は、ペットボトルという入れ物に、水という中身が入ったモノです。ペットボトルを構成しているのは、プラスチックのボトルとフタ、ボトルに巻くラベルです。

ペットボトルの水を作りたい場合を考えてみます。まずはプラスチックを仕入れて、工場でボトルとフタを作ることにします。ラベルは外部の会社に頼んで作ったものを仕入れ、同じく水も仕入れます。

製造の工程は、ボトルを作る工程、フタを作る工程、水をボトルに入れる工程、ボトルにフタをする工程、ラベルをボトルに巻く工程の5つに分けられるとしましょう。

まず、水とプラスチック、ラベルを仕入れます。この時に、それぞれ仕入の単価が決まります。仕入が完了したら、プラスチックを材料に、ヒトの手と機械を使ってボトルを作る工程に入ります。ここで、ヒトと機械について、それぞれ作業にかけた時間を測っておきます。

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では、原価を計算してみましょう。まずは「プラスチックをいくらで仕入れたか」と「それをどれだけ使ったか」です。プラスチックの仕入単価×使った数量で、プラスチックそのものの金額が出ます。

ボトルを作るためにヒトと機械をそれぞれ使った時間は、すでに測っています。ヒト1人、機械1台が1時間の作業をしたらいくらかかったとみなすかも、あらかじめ決めておきましょう。ヒトの1時間当たりの金額×実際にかかった時間で、ヒトにかかった金額が出ます。機械の1時間当たりの金額×実際にかかった時間で、機械にかかった金額が出ます。

ここまでをすべて足すと、ボトルを作る工程でかかった金額、つまり、原価が計算できます。同じように、フタを作る工程も計算します。ここでフタの原価が計算されます。

次は、水をボトルに入れる工程です。ここで、ボトル+水の原価がわかります。ボトルを作る工程で計算したボトルの原価+水の仕入単価×数量。更に、この工程でもヒトと機械が動くので、その分の金額も足してください。ボトルにフタをする工程、ラベルをボトルに巻く工程......と計算してゆくことで、最終的に、"ペットボトルの水"の原価が計算されます。このように分けて考えると、一気にハードルが下がるのではないでしょうか。

最初からあまり難しく考えずに、どうやって身近なモノを作っているかを想像して、イメージを膨らませてから、原価計算と向き合ってみるのがおススメです。原価計算や原価管理が分かるようになると、身近なモノがどれくらいの原価で作られていて、どれくらいの利益を生み出しているのか、よく知っているあの企業やこの企業がどれくらい利益を上げているのかが分かるようになります。

ヒトの頭だけですべての原価を計算するのは大変!

まずはヒトがきちんと理解してこその原価計算ですが、実際の工場で作っているたくさんのモノすべての原価を、ヒトの頭だけで計算するのはなかなかタイヘンです。そんなときにはシステムを使ってみてはいかがでしょうか。

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UMさん
著者:UMさん

UM SaaS Cloudの開発に携わるエンジニア。
現場の課題を解決するソリューションの開発に情熱を注いでいます。
ブログでは、UM SaaS Cloudの機能や活用方法の解説のほか、製造業におけるDXやIT活用の最新トレンドなど、製造業に役立つ情報を発信しています。

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