製造業コラム

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製造業におけるDXとは?

更新日:2023年9月22日
製造業におけるDXとは?
DX

今回は、製造業におけるDX(デジタルトランスフォーメーション)の話です。

DXとは、デジタル技術で世界をより良く革新すること

まずは基本的な定義から。*ウィキペディアには"「情報の浸透が、人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させる」という概念である。"とあります。
*出展:「デジタルトランスフォーメーション」フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)(2023年2月14日16:30時点)

また、2019年*に経済産業省が公表した定義では「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」 となっています。
*出展:「DX 推進指標」とそのガイダンス 経済産業省 令和元年7月

まとめると「人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させるために、デジタル技術を用いてラディカルイノベーション(根本的な革新)を起こすこと」だといえるでしょう。

DXの前段階「デジタイゼーション」と「デジタライゼーション」

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DXとよく比較される言葉に、「デジタイゼーション(Digitization)」と「デジタライゼーション(Digitalization)」があります。

デジタイゼーション(Digitization)

デジタイゼーション」は、ビジネスプロセスは変えず、元々のプロセスにデジタル技術を導入して、特定の業務を効率化する段階です。製造業の仕事でいうと、たとえば、製造工程や設計の作業を効率化するためにIT機器やツールを導入すること等が該当します。

デジタイゼーション以前の製造業では、ヒトが設計図を手書きして、これをコピーして各工程に配り、その設計図を見ながら作業を行っていました。設計に変更があると、ヒトが設計図を修正して、コピーして、配り直す。これが何度も繰り返されると、どの設計図が最新かわからなくなりますね。

ここにITを導入してみましょう。

コンピュータで設計図を書く際に、CAD(コンピュータ設計支援)を使ってみます。これで最初の設計作業と設計変更時との効率化が図れますね。各工程に紙の設計図を配るのではなく、タブレットで見てもらうことにする。コピーして配る手間も、どれが最新かわからなくなることもなくなります。
この段階は、すでに実現している製造業の企業も多いのではないでしょうか。

デジタライゼーション(Digitalization)

次の「デジタライゼーション」は、デジタル技術を導入することで、ビジネスプロセスを変更し、業務全体を効率化する段階です。製造業なら、生産管理システムを導入することが挙げられます。これで各工程の状況、進捗を会社全体で把握できるようになります。

さらに大切なのは、システムを導入する際に、これまでの業務を標準的なフローに合わせて見直すことが求められるため、このタイミングで業務全体を最適化できるということです。

すでに実現している企業もある一方で、まだ取り組めていなかったり、一度は取り組んでみたけれど、システムがすでに古くなってしまって、このままでは次のDXの段階に進めないという企業も多いかと思います。

そして「デジタルトランスフォーメーション(DX)」。
これはデジタライゼーションまでの、ひとつの企業とその周辺のいくつかの企業だけの話ではなく、社会全体に大きく影響する取り組みです。

DXを想像し、実現する

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製造業がDXを起こせたら、どのようなことになるのでしょう?
私の想像を書きます。

たとえば、モノが作られて売られるまでの流れ「サプライチェーン」には、モノを作る製造業⇒モノを運ぶ物流業⇒モノを売る流通業が関わっています。原材料の調達から、製品を売る最終の小売業までですね。

SCM(サプライチェーンマネジメント)の考え方では、この一連のモノとお金の流れをまとめて見直すことで、全体の最適化を目指します。このために必要なのが、サプライチェーンに関わるすべての情報を、すべての企業、ヒトの間で、一気通貫で共有すること。IoTで製造にかかわる機器や、ヒトからくまなくデータを収集すれば、何をどこ(この"どこ"は、サプライチェーン上の企業を指します)でどれだけ製造仕掛中かを把握できます。

情報共有は、移動通信システム5Gにより、映像を使ったリアルタイムなものが当たり前になるでしょう。これらにより、何がどこにどれだけあるのかといった、在庫の共有をリアルタイムで知ることができます。原材料の調達先や物流拠点、小売店にどれだけの在庫があるのか。何がどこでどれだけ売れているのかも、ヒトを介さずにすぐ把握できるようになります。

それからモノの棚卸も必要なくなるでしょう。どのヒトがどこでなにをしているのかも把握できるので、作業日報や勤務表を付ける必要がなくなりますね。どのようなイベントがどこで開催されるのか、気候はどうなるのか、どこからどれだけヒトが集まったのか......等も、ビッグデータとして集積されます。

さらに、AIがこのビッグデータから精度の高い需要予測をする。いつどこに何がどれだけ必要なのかがわかるのですから、この情報をサプライチェーン上で共有すれば、製造業から原材料の調達先、小売から物流へ行っていた受注業務や発注業務がいらなくなります。

製造業は、手動であるいは生産管理システムで、苦労しながら生産計画を立てています。月曜日に一週間の生産計画を立てたのに、火曜日に受注が入って、急ぎで計画を見直す......なんてことは、日常茶飯事。これもきっと不要になるでしょう。

ここまでくると、ネット上のあらゆるデータを活用することで、今後売れそうな製品や、まだ世の中にないけれど、実はニーズのある製品を想定することもできそうです。そうなれば、営業も必要ありません。わざわざ自社の製品を売り込む必要はなく、ネットに情報を流せば、顧客は瞬時に把握できるからです。

製造・物流・流通までが、DXによって、いままでとは全くちがったものになると、私は想像しています。

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    SCさん
    著者:SCさん

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